理想と現実は違う…?
IT関連企業で働く鈴木さん(38=仮名)は、ほぼテレワーク。パートで週4日、外出する3歳下の妻のひと言にイラッとするという。 「掃除とか洗濯とか夕食の用意とか、妻は出がけに『どうせアナタはウチにいるんだから、やっておいて』って、やたらといろんな頼みごとをするようになったんです。コロナ以前は私も出勤していたから、そうでもなかったんですが、最近は家事全般を一手に引き受けている状態ですよ」と不満タラタラだ。 そもそも妻は専業主婦だったが、子供がいなくて「退屈だから」という理由でパートを始めた。パート代は「貯金に回している」と妻は言うが、怪しいものだ。 「こっちはあくまで自宅勤務で、遊んでいるわけじゃありません。家事を分担するのは当然なんですが、『ウチにいるからやれ』ってのはおかしくないですか」と、鈴木さんは語気を荒らげる。 お金・暮らし・働くことに関するヒントを提案するメディア「Like U」の家事分担に関するアンケート調査(共働きの男女400人対象=6月24日公表)で、理想の家事分担比率を聞いたところ、夫も妻も最多の回答は「夫5:妻5」だった。 が、現実の家事分担比率は、妻の回答を見るとトップは「夫1:妻9」で30%。半数の妻が、夫の家事分担比率は2割以下と答えている。 一方、夫のトップは「夫3:妻7」で24%。4割近くの夫が「自分は全体の3割以上は家事を分担している」と思っていることが分かった。夫と妻ではかなり認識にズレがあって、家事分担が原因でケンカをしたことがある人は52%だ。 ■生活に必要なスキル 「ケンカになるかどうかは世代にもよりますけどね」と、夫婦の問題にも詳しいライターの日々晴雨氏がこう続ける。 「アラフィフ以上になると、まだ家事は女性の仕事だと思い込んでいる男性も多くて、女性も〈そういうものだ〉と諦めていたりします。確かにテレワークになって家事の分担が増えたという男性の不満も耳にしますが、そもそも家事は男女関係なく“生きる力”、生活に必要なスキルです。中には、テレワークになって家事に目覚めた男性もいる。逆に今こそスキルを身につけるチャンスと気持ちを切り替えて、率先してやるかどうかで、老後に大きな差が出てくると思いますよ」 離婚や死別など、この先、何が起こるか分からない。いざ独り身になったときに……まさに日々氏の言う通りだろう。
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