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パナソニックグループの成長を支える社員の皆さん。それぞれの働く表情と素顔をご紹介します。
Vol.3
![](https://news.panasonic.com/data/group-magazine/jp/magazine/no11/chikara/name-gm-frontline03.png)
しみず たけし
パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社
外廻りシステム事業部 VIG事業推進部
大学卒業後、プラズマディスプレイ(以下、PDP)や有機ELディスプレイの開発に従事。PDPの開発で得た生産プロセスのスキルを生かし、2016年から現職。
真空断熱ガラス(VIG: Vacuum Insulated Glass)「Glavenir(グラベニール)」は、私がかつて担当していたPDPの内部構造を応用した製品であり、工法開発から製造までの工場に関わる全てを担当しています。特長は、高い断熱性能に加え、薄くて軽量であること。冷凍・冷蔵ショーケースや住宅の断熱性が著しく向上するだけでなく、厚みを減らして原材料の使用量を削減しているので、製造時と設置後の両方でCO2排出量を大幅に削減できます。かつてCES(米国・ラスベガスで毎年1月に行われる世界最大級のテクノロジー見本市)でその技術を紹介した際も、大きな関心を集めました。
ハスマンが受注したスーパーマーケットの冷蔵室の自動扉に採用が決まった当時のVIGは、割れが発生していました。初めて現場を訪れた際の、困り果てた作業員の表情は、今でも印象的です。私たちは、高強度かつ低コストのVIGを供給するため、排気管*を使わない排気孔封止技術、それを実現するオリジナル設備と最適な設備設定等を約1年の短期間で開発。排気管がないスタイリッシュな強化VIGの販売にこぎつけました。現場の困りごとを根本的に解決でき、非常に感慨深い経験でした。
*排気管:VIGの内部に通じ、内部を排気・真空にするガラス管のこと
現在私が注力しているのは、欧米のガラス工場への製造ラインの外販。当初はコアとなる設備だけを販売していましたが、立ち上げ期間が短くなるなどのメリットから、製造ラインとしてパッケージで提案することにしました。しかし外販先に「本当に高効率の製造ラインが実現できるのか」「コストが合わない」「F1カーみたいに、ただ速ければよいものではない、丈夫さ(量産安定性)がなければダメだ」などの苦言を呈されることも。こうした中で気付いたのは、いかに低コストで高生産性を実現し、納得感を高めていただくか。私は、汎用の設備をベースに、顧客向けのカスタマイズ部分を組み合わせるという手法を突き詰めました。個々の装置のスピードを限界まで早めつつ、安定性を高めることで、コストを最小限に抑えたのです。日本で実際に稼働する生産ラインを見た外販先から「Amazing and spectacular!」という声を受けた時、今までの努力が報われた思いがしました。今後もこの感動を上回るような設備開発を続け、ゆくゆくは自動車や電車などモビリティ分野にも使える、湾曲したVIGを開発したいと思います。
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