住宅ローン完済年齢上昇、老後貧困にならないために
10月5日の日経新聞の朝刊1面に「住宅ローン完済年齢上昇 平均73歳 年金生活不安定に 審査、老後リスク吟味必要」という記事が掲載されました。 住宅購入時には返済可能と思っていても、当初のプランが崩れると老後の生活資金に困窮する場合も。今起きていることを確認するとともに、これから住宅を購入する人が気をつけるべきこと、すでに購入した人は改めて今後の資金計画を検証するヒントにしていただければと思います。
住宅ローンの完済年齢が高齢化している
10月5日の日経新聞朝刊の記事によると、2020年度に住宅ローンを利用している人の返済完了時の平均年齢は73.1歳。2000年度と比べると5歳程度返済完了時の年齢は後ろにズレているとのこと。その原因を「住宅取得年齢の高齢化」「融資額増大」「返済期間の長期化」の3つとしています。
晩婚化による住宅取得年齢の高齢化
日本では少子高齢化が進行していますが、あわせて晩婚化、第一子出産年齢の高齢化なども進んでおり、その結果、住宅取得時期も遅くなる傾向が進んでいます。 一般的な住宅ローンは完済までの期間を最長35年、完済時の年齢が80歳未満まで設定できます。返済期間を長くすれば1回ごとの返済金額が少なく抑えられます。しかし、何かしらの資金手当てがのぞめないと(親からの相続や定年後も一定以上の収入が確保できる見込みなど)、80歳まで同じペースでローンの返済を続けることは難しいでしょう。
「住宅ローン控除」の功罪
現在「住宅ローン控除」によって、一定の条件の下、年末のローン残高の1%相当の税金が戻ってくる税制優遇策の恩恵を受けることができます。返済額が少なければ元本の減少が少なくなり、結果としてより多くの税金が戻ってくることになります。 税制優遇を最大限に活用しようとした結果、あえて返済期間を延ばし、住宅ローン控除が受けられる期間を経過した後に、一括返済で元本を減らす計画をすることも少なくありません。 私もそうした計画をおすすめすることがありますが、その際は一括返済のための返済資金を形成する計画まで検討します。住宅取得時期が遅れても、完済時期を遅らせないよう返済期間を短くするのが理想ですが、実際にはそう簡単にはいかない場合もあるでしょう。 将来困らないためには、普段の生活の中からしっかりと返済資金(月々の返済だけでなく、一括返済を考えている場合はその資金もあわせて)を確保する資金計画が必要になります。 定年延長などによって就労できる年齢も延びつつあります。会社によっては定年廃止などの動きもありますが、それでもある程度の年齢に達すると、収入が減少すると考えておく必要はあるでしょう。
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