(写真撮影/相馬ミナ)
日蓮宗の大本山「池上本門寺」が13世紀に建立されて以来、門前町としてにぎわってきた東京都大田区池上。2019年ころから、地域の持続的な発展を推進する「池上エリアリノベーションプロジェクト」が進行中で、歴史ある街の各所に新たな感性が芽吹いている。大田区と共同で同プロジェクトに取り組む東急株式会社の磯辺陽介さんの案内で、魅力を増す池上の街歩きをしてみよう!
街リノベは目的ではなく手段、プロジェクトで池上のポテンシャルを引き出す
(写真撮影/相馬ミナ)
3両編成の電車がコトンコトンと行き交う東急池上線。五反田と蒲田という二つの繁華街を繋いでいるにも関わらず、沿線はローカル感が漂う。もともと池上本門寺の参拝客のために生まれた路線で、池上はその中心的存在だ。
池上のシンボル、池上本門寺。宗祖日蓮聖人の命日に行われる法要「お会式(おえしき)」は毎年10月11~13日の3日間執り行われ、30万人にも及ぶ参詣者で街がにぎわう(写真撮影/相馬ミナ)
2020年7月に生まれ変わった池上駅構内には、木がふんだんに使われ、電車を降りると木の香りがする。池上本門寺の参道に繋がるようなイメージでデザインされたという自由通路を抜け、駅北口から池上本門寺方面に向かおう。駅前には、池上名物・くず餅の老舗「浅野屋 」が店を構える。 「池上は、くず餅発祥の地とも言われていて、老舗のくず餅屋さんが何軒もあるんですよ」と磯辺さんが教えてくれた。池上が地元の方には当たり前の風景かもしれないが、コンパクトなこの街の中に数百年続くお店が点在しているのは、すごいことではないだろうか。
池上駅前。駅舎は構内踏切がある平屋から、地上5階建てのビルに生まれ変わった。駅ビルのエトモ池上は2021年春に開業予定(写真撮影/相馬ミナ)
「池上は「池上本門寺」に約700年寄り添ってできた街です。もともと街はありますし、 “まちづくり”という単語がおこがましいと思っているんですが……」と磯辺さんは前置きしつつ、「『池上エリアリノベーションプロジェクト』は、人や場所、歴史、文化などの地域資源を、再発掘・再接続・再発信によって活かすまちづくりの取り組みです」と説明してくれた。 2017年3月、池上で東急主催のリノベーションスクール(※)を実施したことをきっかけに、プロジェクトが始動した。数ある東急線沿線の街の中から池上を選んだ理由を尋ねると、「池上駅をリニューアル予定だったこともあるのですが、池上のヒューマンスケールというか、こぢんまりとしていて血が通っている感じが、リノベーションスクールの世界観と合いそうだと感じたんです」と磯辺さん。 ※全国各地で開催される、まちなかに実在する遊休不動産を対象とし、エリア再生のためのビジネスプランを提案し実現させていく実践型スクール
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