巨大な穴は19日未明に埋められた(東京都調布市)/(C)日刊ゲンダイ
18日、東京都調布市東つつじケ丘の住宅街で道路が陥没した一件。付近の地下50メートルで東京外環道のトンネル掘削工事を進めていたNEXCO東日本は19日に会見し、陥没と工事の因果関係について「ないとは言い切れない」と語った。 現場周辺では先月から外壁の亀裂やタイルの落下など異変が起きていた。NEXCO東日本の広報は「異変は指摘されていたが、なぜその時点で中止しなかったのかは、現在、現地で対応しており、すぐにはお答えできない」と答えた。 なぜ陥没は起こったのか――。立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授(災害マネジメント)は「地下の掘削工事の揺れが引き金になった」と指摘し、こう続けた。 ■軟弱地盤にトンネル工事の揺れが襲った 「根本的な原因は軟弱地盤の可能性があります。陥没したエリアは、2万年前の氷河期に形成された100メートル幅の谷を人工的に埋め立てて宅地化したところです。おそらく1970年代の宅地開発でしょう。その際の開発業者がきちんと造成をしていないと、軟弱地盤になり、強度が低下するのです」
外環道開通ルート周辺地域の高低図
外環道は関越道の大泉JCTと東名高速の東名JCT間の約16キロを巨大地下トンネルで結ぶ。大深度地下法が初めて本格適用され、地下40メートル以深は地上に影響が出ない前提で、地権者の同意なしに工事できる。 掘削工事は大泉JCTからの南下ルートが練馬区東大泉まで、東名JCTからの北上ルートは東つつじケ丘まで進み、まだ10キロ以上残っている。〈図〉は高橋教授が作成した高低図。色の濃い部分が谷を指す。数千年前から地形は変わっていないが、現在も谷や川のままの状態もあれば、埋められているケースもある。外環道の開通予定ルートを重ねると、陥没発生場所は確かに谷に位置している。 東つつじケ丘以北の工事ルートは井の頭公園(武蔵野市・三鷹市)、善福寺川公園(杉並区)、石神井公園(練馬区)周辺が、かつて谷だった住宅街。掘削工事済みの東つつじケ丘以南は、調布市入間町から世田谷区大蔵を流れる野川周辺が谷になっている。 周辺の宅地の住民は用心した方がいい。
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