「工務店」という存在と工務店による家づくり・リフォームの魅力を発信する生活者向け住宅情報サイト「jimosumu(ジモスム)」(運営:新建ハウジング)では、高断熱住宅を建てた経験者に、家づくりについてインタビューをした動画企画「『縁側ちゃん』に縁側で聞いた家づくりのリアル」を行いました。
動画3本(約50分)の内容を対談形式でまとめた記事をご紹介します。プロの皆さまにも役立つ内容です、ぜひお読みください。
(※対談動画視聴は新建ハウジング公式YouTubeチャンネルから)
※記事中とトップで使用している写真は縁側ちゃん撮影※
古民家の縁側に魅了され『縁側なび』というサイトの運営までされている『縁側ちゃん』が、なぜ古民家リノベではなく高断熱住宅の新築の家を建てることになったのか。その経緯、家づくりにおいて大切にしたこと、どこに頼むのか問題、取捨選択の連続の家づくりの大変さ、なにを重要視したのか、暮らしてみて今どんなことを感じているのかなど、洗いざらいお話しいただきました。
縁:縁側ちゃん(成瀬夏実さん/写真左) み:三浦祐成(インタビュアー)
コンセプトは「縁側のある家」
み:まずはじめに、縁側の魅力とは? 縁側に魅了されたきっかけは?
縁:一言でいうと「四季を感じられる空間」かな。庭がなければ成立しないことなんですけど、庭ではなくても農家の家だったり他の家を見ても四季が感じられるように設計されていたりすると思うので。風の心地よさとかを窓から眺めるだけではなく感じられる。そういうところが一番の魅力です。
み:日本の家で気持ちのいい場所の一つが縁側だと、僕も思います。
縁:縁側嫌いな人多分いないんじゃないかな(笑)。
み:縁側と軒下ですよね。
縁:軒下がないとしっくりこない。ウッドデッキじゃないところですよね。
み:縁側に魅せられてどのくらい?
縁:7年になります。水戸の偕楽園の奥にある好文亭(こうぶんてい)を訪れた時、縁側に座ってぼーっと景色を眺めながら、「縁側っていいな」と思ったのがきっかけで、色々なところを見に行くようになりました。
み:子どもの頃の原体験があると縁側のよさを思い出すということがあると思いますが、子どもの頃の縁側の原体験は?
縁:それが、ないんです。マンションで育って、おばあちゃんの家にも縁側はなかったので原体験としてはないんですが、お寺の縁側は好きでしたね。原体験がないからこその「憧れ」になったのかもしれませんね。偕楽園きっかけで都内でどのくらい縁側のある家が残っているのか調べたら、結構あって。まずは文化財から見に行きはじめました。
み:(見学に)おすすめの家はありますか?
縁:代官山の駅前にある旧朝倉家住宅。都内でもなかなか見ることができない政治家っぽい家だな、と(笑)。
地方にも大きな家はたくさんありますが、都内の政治家や旧貴族の家は使われている木も違うし、東京には東京らしい古民家があるという意味でも、見ごたえがあると思います。
み:縁側って興味のない人には全くなんだけど、体感すると気持ちいいな、とかずーっといたくなる、そんなパワーがありますよね。
縁:同世代(※編集部注:縁側ちゃんは30歳)だとマンション住まいの友達も多いし縁側に座ったことがない子もいて。私の結婚式を古民家でやったんですが、グループごとの集合写真を高砂の代わりに縁側で撮りました。その時初めて縁側に座ったという友達が何人もいて、「縁側っていいね」って言ってくれた。
やっぱり座ってみないとわからないんだなと、その時わかりました。無理に勧めたところで見になんて行かないし近くにないし…なので、縁側があるような古民家やカフェに友達を連れて行くようになりました。そしたら周りの友達はみんな「いいね」って言ってくれるようになって。
み:縁側のインフルエンサーですね。
縁:先日友人を家に招いて「縁側でスイカを食べる会」をやったんですが、「いいね。次は七輪でサンマを焼く会をしよう!」となり。
み:たしかに。縁側と食べ物とお酒って、それだけでずいぶんおいしく感じるものですよね。
縁:夏は暑くても夜は涼しくなるので、ちゃぶ台を出して晩ごはんをここで食べたり。
み:家を建てるにあたって縁側をつくるというのは最初から決めていた?
縁:そうですね。コンセプトは「縁側のある家」。「縁側ハウス」と言っていたので縁側だけはどうしても外せなかったですね。
み:ワンテーマあると家ってつくりやすいですよね。全く何もないところから注文住宅で夢を形にするってすごく大変です。成瀬さんの場合はコンセプトが決まっていたので、それを実現するための場所と家と建てる人という感じで探していったと思いますが、まずは場所から?
縁:前から鎌倉に住んでいたので、駅からアクセスのいいところで探しました。その前は東京に住んでいましたが、東京では縁側のある家に住めないなと思って。古民家の多い鎌倉ならいい物件に巡り合えるんじゃないかと鎌倉に越して来たので、古民家には住みたかったです。あとは知り合いが何人もいて、すでに関係人口がつくられていたのも大きかったです。
み:いいですね。テーマがあって、それを実現できる場所だけじゃなく、関係を持っているコミュニティーがある。
縁:移住する前から鎌倉の古民家を何軒も取材していて応援してくれる人たちがいたのも大きかったです。