住宅ローンの返済は
新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちのお財布事情も先行き不透明に。しかし、ピンチの時こそ、働く世代も年金世代も家計を見直すチャンス。Reライフ読者会議メンバーから寄せられた悩みに、ファイナンシャルプランナー深田晶恵さんがZoomで家計改善のコツをアドバイスしました。
退職金は大切な老後資金 一括返済は慎重に
Aさんの家計簿
今回の相談者は、新型コロナウイルスの影響でパートを休職中という東京都在住のAさん(55歳)。今年は夫が60歳で定年退職を迎え、嘱託として働き続けるものの給料が大幅に減ることに。住宅ローンの残高が約2100万円あり、毎月12万円(ボーナス時30万円)の返済が80歳まで続きます。夫婦で参加したZoom家計相談の冒頭で、「退職金と貯金で、一括繰り上げ返済を考えています」と切り出しました。
2つの返済プラン
この悩みに、ロングセラー『住宅ローンはこうして借りなさい』の著書がある深田さんは「退職金で一括繰り上げ返済をするのは、慎重に考えたほうがいいです」と答えました。退職金をローン返済に充ててしまうと、今後の老後資金がなくなってしまうからです。深田さんは「退職金は年金収入を補完するための大切な老後資金なので、できるだけ温存してください」と話し、老後資金を確保しながら住宅ローンの負担を減らす案を二つ”伝授”しました。
【プラン1】期間短縮型
月12万円の住宅ローン返済を続けながら、1500万円で「期間短縮型」の繰り上げ返済を実行します。1500万円を繰り上げ返済すると、完済年齢が80歳から65歳に早まるため、年金生活までにローン返済を終えられます。 60代前半は何とか家計の赤字を出さず、今のローンを返済していく案です。現在の貯蓄額の700万円と退職一時金1850万円の計2550万円のうち、1500万円を繰り上げ返済に投入したとしても、夫が65歳になって完全な年金生活になったときに、手もとに老後資金が1050万円残る計算になります。
【プラン2】返済額軽減型
もし、再雇用後の収入が大幅にダウンして、ローン返済を続けると家計の年間収支が赤字になりそうな場合は、1000万円を投入して「返済額軽減型」の繰り上げ返済をする方法も。これで毎月の返済額を約半分の5~6万円に圧縮し、ボーナス月は12万円を返すようにして、年間約90万円を80歳まで返していきます。月々の返済額は軽減できますが、返済期間が短くならないので、ローン返済は年金生活まで持ち越すことになります。
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