Q ステンレスってどのような材料ですか?
A. ステンレスとは、鉄(Fe)にクロム(Cr) を 10.5%以上含有させた合金で、炭素(C)が12%以下のものの総称です。特長はきわめて錆びにく い素材ということです。クロム(Cr)のほかに、さらにニッケル(ND)やリブデン(Mo)などを添加して、さびにくさをもっと改善したり、様々な形に加工できる性質などを付与した多種多用な鋼種があります。キッチンでは主に SUS304 (18Cr-BNI)や SUS430(18Cr)の種類の種を使用しています。
Q ステンレスってなぜさびにくいの? 絶対にきびないの?
A. ステンレスの最大の特長である“さびにくい”性質は、クロムによって作られる表面の特殊なパリアーによるもので、そのバリアーは「不動態皮膜」と呼ばれています。「不動態皮膜」は、クロムと大気中等の酸素との反応によって作られるもので、1~3ナノメートルという非常に薄い皮膜です。結晶構造を持たないガラスのようなもので、非常に緻密で安定してい (※1) 不動態皮膜の最大の特徴は、なんといっても「自己修復機能」を持っている 点です。加工中や使用中に不動態皮膜が破れても、鋼中のクロムと大気中 等の酸素とが反応して同じ皮膜を“瞬時に”再生します。この再生に時間が かかれば、酸化(さび)が進行してしまいますので、この「瞬時に再生」とい うのは重要なポイントです。また、クロムは鋼中から供給されるため、自己修復機能は何度でも繰り返し 発揮されます。その効果はほぼ無限といっても良いくらい長時間安定して発
揮されることも大きな特徴です。 最後に、ステンレスは絶対にさびないわけではありません。特に海水等に含 まれる「塩素」は大敵です。 塩素によって不動態皮膜が破られ、自己修復が間に合わずに局部的に侵食 されてさびていく(これを孔食と言います)場合があります。
Q ステンレスはリサイクルされますか?
A. ステンレスは、品位を低下させるこのなく、ほぼ100%のリサイクルが可能です。ステルスシンク、ワークトップも使用しているステルスを回収して再びステンレスとして再利用することも可能です。ステンレスは環境にとても優しい素材といえます。
Q ステンレスの表面仕上げは主にどのようなものがあるの?
名称 | 表面仕上げ種類 | 表面仕上げの方法 |
---|---|---|
BA | 光沢のある表面仕上げ | 冷間圧延後、光輝焼鈍(無酸化焼鈍)を行ったもの |
HL:ヘア―ライン | 長く連続した研磨目を持つ仕上げ | 通常P150~P240番の砥粒研磨ベルトで長い研磨目を付けたもの |
バイブレーション | 無方向性研磨仕上げでマットな印象で高級感がある | 多軸水平研磨により、無方向に研磨目を付けたもの |
エンボス | 凸凹の浮き出し模様のついた仕上げ。傷が目立ちにくい特徴 | エッジングまたは機械的に模様を彫り込んだエンボス用ロールで圧延したもの |
ステンレスを加工したら磁石につくようになりました。どうしてですか?
最も一般的なステンレスの SUS 304(18%クロム、8% ニッケル)は、通常の素材状態では磁石に着きませんが、プレス加工などして、大 きく変形ささせた部分では磁石につくようになります。これはステンレスの金属組織(結晶構造)が加工によって変化したためです(加工歪によるマルテン サイト変態)。 ステンレスの種類(鋼種によっては、大きく変形させた加工部でも磁石に着 かないものもあり、目的によって鋼種を選定することができます。なお、加工によって磁石に着くようになっても、成分には変化がありませんの で、耐食性は変わりません。
ステンレス製品お手入れコラム
ステンレス製品は塩素系漂白剤に含まれる塩素イオンが苦手です。食器や ふきんのつけ置き漂白などで、長時間シンクに薄め液を張るとさびの原因 になります。その他、酸性、アルカリ性の洗剤も苦手なので使わないでくだ さい。また、塩やしょうゆに含まれる塩分もさびの原因になりますので、すぐに拭き取る習慣をつけましょう。
水道水に含まれるカルシウムやマグネシウム中の無機質が、二酸化炭素や 酸素と結びついて白い固形物を発生させます。この白い固形物中の、水に 溶けにくい炭酸カルシウムとケイ酸が蓄積したものが「水垢」と呼ばれるも ので、ステンレスシンクや水栓部分に付着した水滴を放置すると水垢の 原因となります。
(出典:シゲル工業)
※1参考資料:ステンレスって面白い(新日鐵住金ステンレス)ステンレスの主な表面仕上げ(ステンレス協会)
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